Lost & Found
Lost & Found
今回は Lost & Found について
失われたもの、時、その想い
この写真はたぶん東京の高円寺付近で撮ったものです。
僕が京都で最初に中古で買った一眼レフ Pentax SPでのモノクローム写真です。
自分で焼いたものか、粒子が荒いものですがそれなりに愛着のある写真です。
この写真で彼女が着ているジーンズのカバーオールのお話になります。
これは京都にいるころにジーンズショップの店頭で山積みにされていたアメリカの古着の一枚です。
今思えばお宝の山です。35年以上前のことです。
かなり着古したもののようですが、ほころびたところは全て手縫いで丁寧に補修されていました。
その手仕事の跡を見ているだけでもいろんな人の思いや苦労や楽しい思い出が浮かんできます。
失われたものの履歴が物言わず伝わってきます。
今の時代の物たちのように補修もされず、気分によって使い倒されて打ち捨てられていくもの
とは違う何かを感じます。
あの時、あそこの枝に引っかかったときのとか、あの時転んで擦りむいたときのほつれだとかの
思い出の痕跡が読み取れます。
使い古された机に刻まれた小さい頃の落書きのようなものでしょうか。
今のダメージ加工はそういったものを演出するために作られているように思えます。
大量に作られている物たちに囲まれた若い世代にはそういったルーツだとか郷愁に
憬れを持つのかも知れません。
次の写真が今手元に残っているものです。
襟の内側は黒のコーデュロイ、右胸のポケットはフラップ付き、左のポケットはペンシル差しと
コイン入れに分かれています。ボタンは金属の星形のプレス模様で、
上から2番目のボタンホールは2つあります。
ジャケットの内側は毛布地です。主要な部分は3本ステッチで丈夫に作られています。
タグにはHERCULESというブランド名とシアーズ・ローバックの社名が凸版で印字されています。
モノクロフィルムの写真からカラーのデジカメ写真へと、時の流れのなかで
見失われていったものと、見出されたものが僕の頭の中をよぎります。
その流れの中で僕は魚になります。流れのうねりと、早さを銀の鱗で感じます。
では このへんで 次回をお楽しみに。 hamaでした。
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