サラ・ムーン モノクロームな儚さ

hamabeat

2014年08月29日 07:52

僕が知っている 3人の女性の写真家

アニー・リーボヴィッツ ダイアン・アーバス そして サラ・ムーン

3人とも それぞれ 全く違った個性を持っている

なかでも好きな写真家は サラ・ムーンです


彼女のポートレート





ジャバラのポラロイドカメラをかついで 

レフ板を持って 歩いている 後姿

うしろの空間が多く 過去を背負っているようにみえる

彼女の作品は 積み重なった落ち葉のような時間を感じさせる

少女時代の小さい頃の 無垢な感性を感じさせる


サラ・ムーンというペンネームは素敵ですね





Moon 月 Luna

彼女の撮る写真の光は 太陽の光ではなく月の光です

おぼろげな 月の光の明るさです





彼女は 静物や街中や自然をあまり撮らない

ほとんど 人物 それも 女性か少女

男 は ほとんど撮らない

女性といっても ファッションモデルがほとんどで

生活感のない 物語のなかの人形のような 作品が多い







モノクロームが多く カラーは ポラロイドのような色調

ダークでボケていてズレている作品が多く

薄れていく記憶のような 儚さを感じる






レンズは50mm以下の広角レンズは使わないという

標準から望遠レンズを主に使っている

広がりのある空間の奥行きではなく

相手とは距離を保ちながらレンズで寄って撮影しているようだ

その方が 気遣われることなく自然な写真がとれる

全体をスッポリ収めた写真も少ない

どこか 切り取られた写真がおおい

切り取られ、薄暗く、ボケてズレた写真は

うすれゆく 記憶の断片や幻のように 僕達の想像力を駆り立てる


サラ・ムーンの一番好きな言葉は

ephemere  エフェメール  儚さ (はかなさ)  だという


<子どもが大きくなるにつれ失ってしまう最も貴重なものは


若さそのものよりももっと大事で、かって労することなく聞こえ


疑うことなくそれに応えたあの遠い日々の声である。>


と言っているように

失われた あの 遠い日々の情感を

白い印画紙の上におぼろに現像している



彼女の作品から 浮かんでくる言葉

忘却  消滅  喪失  予感  欠如  

あこがれ まぼろし はかなさ しぐさ

流れ 影 眠り 迷子 異国

待つこと 忘れること 消えゆくこと たちのぼってくるもの

すぎさる たゆたう うつろう まどろむ ゆらぐ


彼女は  決して デジタルカメラは使わないだろうな


追記 PS

ある 著名な日本のカネラマンが彼女にインタヴューしてたときの

ぼくのおぼろげな記憶ですが 間違ってたらごめんなさい

彼女のカメラを見て 驚いたことですが

なんと 彼女のカメラのレンズが 割れていた そうです

それ以来 僕はいまは デジタルですが 

レンズを割ってみようかなと思っています

ある意味 おのれを 壊した眼で見る世界が 必要かも

と 思います

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